まともに答えられる人は、意外に少ない
あなたが量販店で買い物をしていて、ふとシャンプーの棚が目に入り、「今使っているのを、そろそろ切らしそうなので、気分転換にいつもと違うものを試してみるか」と、考えたとします。
商品棚には、見たこともないものも含め、たくさんのシャンプーが並んでいれば、余程の冒険家でもない限り、試したことはなくとも、今まで見たり聞いたりしたことのあるものから手にとってみるのではないでしょうか? それは深層心理において、”信頼できそうな製品”を探しているからです。
例えばそのシャンプーのテレビCMで見た、女優さんのきれいな黒髪に光るキューティクルが何となく頭に残っていたり、製品パッケージが良いイメージを後押していたりすると、「何か良さそうかも」と、試してみたくなるかもしれません。
あるいは、家電屋さんへホームシアターセットを買いに出かけたとします。普段めったに買うものではないし、その方面にあまり詳しくないから、どれを買うべきか悩んでいて、値段もそれ程違わない5つのメーカーの製品があれば、まずは無名のものは選択肢から外し、それでも決め手に欠くので、”良い音で評判(という印象を既に持っていた)”のメーカーのものにするかもしれません。
または新車を購入する際、最低でも数年使うものだから、信頼できる性能の自動車を選択したいと思うのが自然な消費者心理でしょう。個人の経済感覚の差にもよりますが、親しみのある有名自動車メーカーのセダンと新興メーカーセダンの料金が数千ドルの差なら、新興メーカーを冒険して選ぶより、有名メーカーにしておこうと思うかもしれません。その数千ドルの差が、有名メーカーのブランド力です。
露出+イメージの浸透(洗脳)
このように「見たこと、聞いたことがある」という露出・知名度が信頼性を生み、「良さそう、音がいい、有名だから安心」といった自分の納得値を高め、決断を後押しするイメージが、消費者の購買意欲を促進させるのです。
この「露出」と「イメージの浸透」を積極的に行うことで、他の製品やブランドよりも、消費者に選択してもらえる可能性をより高めること、つまり差別化を確立してブランド競争力を高める一連の行為を、ブランディングと呼びます。