検索エンジンは、SEMという名のマラソン大会を主催しているようなものです。その大会には、SEOとPPCという2つの競技が常に存在しています。(検索エンジンが、なぜこのマラソン大会(SEM)を主催しているのか、出場選手たちの真の目的は何か?など、もっと知りたい方は以下をクリック。) SEMについて
現在このPPC競技は、かなり人気が出て拡張しており、検索エンジン以外の場所でも開催されるようになりました。例えばFacebookやYoutubeといった、大量ユーザーを持つSNSのサイトや、オンラインショップならば、Amazon内など、観客(ユーザー)が多く集まる様々なサイト上でもPPCレースは開催され、多数の選手(広告主)が参加して、激しいレースが繰り広げられています。
PPCの選手(広告主)は、常に順位を競ってはいますが、実際には他の出場選手より、観客(ユーザー)に対して如何に目立ち、自分(自社サイト)を如何に宣伝できるかを競い合っています。選手はゼッケンやユニフォームなどの狭いスペースに、観客が興味を持ってくれそうな工夫を凝らした広告を表示させながら、走っているのです。
そして興味を持ってもらい、観客(ユーザー)に触れられる(クリックされる)と、自分(自社サイト)の詳しい情報を手渡すことができます。
ただし、この情報の手渡し(宣伝のためのビラ配り的な行為)の度に、レース主催者へ宣伝料(広告費)を支払う義務も発生します。ちなみにPPCとは、Pay Per Click(クリック毎の課金)の略で、ビラを1枚配る(クリックされる)毎に、課金されるという仕組みから来ているネーミングです。
なお検索エンジン主催のPPC競技では、ユーザーが検索したキーワードに連動して広告を表示させることから、別名でキーワード広告、もしくはキーワード連動型広告とも呼ばれています。また日本だけは、リスティング広告と呼ばれることもあります。
このレースも、SEO競技と同様、終わりはありません。
大会の主催者によって、レースの順位付けルールは一定していませんが、上位を獲得するには、大きく2つの要素があります。
PPC競技では、観客(ユーザー)に触れられて(クリックされて)、宣伝用のビラを手渡す際に、主催者へ支払う広告費(CPC = Cost Per Click)が、他の選手(広告主)との入札により、決まります。この入札額(CPC)が高い程(1クリックで課金される広告費に高い値を付けている程)、一般的により上位を獲得しやすくなります。
また観客(ユーザー)が、選手の身に付けている広告を目にした回数に対して、実際に選手に興味を持ち、宣伝用ビラを受け取った回数や、出場しているレース(検索キーワード)と、選手の身に付けている広告との適合性など、総合的に判断された、広告の品質(品質スコア/品質インデックス)の評点が高いほど、より上位に掲載される可能性が高くなります。
PPC競技では、選手が身に付けている広告の見せ方に対して、大会毎に細かいルールがあり、それを満たしていない選手は、レースへの出場自体が認められません。ただし、一旦出場停止となっても、問題箇所を修正すれば、再審査をいつでも受けられ、通常は数日以内に再審査の結果を受け取れ、合格すればすぐにレースへの再出場が認められます。
他の競技(広告媒体)と決定的に違うのは、宣伝用ビラを渡せた観客が、その後どういう行動を取ったのかなど、事細かに分析できることです。選手(広告主)の宣伝効果が、実際にどういう成果を得たのか、しっかりと把握できるため、出場すべきレースや予算配分など、賢く考えることができます。
ただ以前とは違い、出場選手(広告主)の数も増えたため、広告単価(CPC=クリック課金単価)がかなり高騰しています。観客の数がある程度見込めるレース(人気のキーワードなど)のCPCは、アメリカなら1ドル~/clickくらいを覚悟しておいた方が良いでしょう。
更に以前であれば、テレビCMなどに投じていた広告費を、大手企業がPPC競技に投じるようシフトしてきており、この煽りでCPCがとにかく高騰してしまいました。
特に、雑な競技の仕方をして入れば、PPCを続けるだけ赤字が増えてしまう、というような状況も、決して珍しくはありません。
周りの強敵たちと戦っていくためには、成果分析を正しく行えるスキルを身につけ、分析を行い試行錯誤を繰り返しながらPPCレースに参戦することが、必須と言えます。
従来の様々な競技(広告媒体)、例えばテレビ、ラジオ、新聞、雑誌やオンラインバナーなどでは、広告料は定額で発生するものの、出場選手(広告主)からすれば、観客動員数(視聴者数)が保証されているわけでもなく、実際に何人の観客へ宣伝できたのかも、全く不透明でした。
一方PPC競技の登場により、観客へ宣伝用ビラを確実に手渡しした時だけに、初めて広告料が発生するという、広告主にとって画期的な仕組みが生まれました。
更にPPC競技の中でも、自分がアピールしたい観客層(キーワードやサイトなど)を細かく選び、それに合ったレースにだけ出場(宣伝)することができるので、自分の広告予算を、無駄なく、最大限に有効活用できるようになったのも、PPC競技が爆発的人気を得た理由の1つです。
PPC競技へ出場はしたものの、宣伝効果が思ったように得られず、苦悩している参加者は数多くいると思います。実際のところ、レース参加者(広告主)は、大手でもなければ、発生する広告費以上に収益が見込めなければ、キャシュフロー的にも、続けることすら厳しい状態に陥る方が一般的です。
そうしたとき、素人判断でPPC競技のポテンシャルを判断するのではなく、プロの選手(PPC管理サービス業者)を雇って、代わりにレースへの出場依頼をしてみることを、強くお勧めします。
素人の選手(広告主)自身が、自力でトレーニングを積み、PPCレースへ出場することは、勿論可能です。ただとても奥が深い競技であり、周りにはプロが多数走っている状況下で、素人が結果を出すのは、並大抵の努力では通用しないことくらい、心得ておくべきです。
観客へ宣伝用ビラを渡すことで発生する広告費は、他の選手(広告主)との入札により決まりますが、アメリカの現状は、安くとも$0.5~$1/clickというレ−トが大半です。とりあえず$1/clickとして考えると、仮に100人へビラを渡して宣伝すると$100ということになり、逆に言えば、最初から広告予算が決まっていれば、何人にビラを渡せるのか、自ずと決まってくるということです。
別の考え方として、想定ゴールから逆算する方法もあります。PPCレースに出場している目的が、宣伝効果により、最終的に自社ショップから商品を注文してもらうことだったとします。毎月の売上目標(ゴール)を仮に50,000ドルとし、1注文での平均単価が100ドルだった場合、1ヶ月に500注文が必要ということになります。
ショップへ訪れた人のうち、何人が注文(コンバージョン)してくれるのか、コンバージョン率の目安があれば、最終的に500注文を得るために必要な集客総数が計算できるので、それに必要なPPCの毎月の広告費を逆算することもできます。
また1注文を得るのに投じた広告費(CPA)が幾らであったかを、全広告費÷全注文数で算出し、CPAが幾ら以下になっていないと、ビジネス的に成立しないか、損益分岐点を考えながら、運用を考えることもできます。