ファンは勝手には増えない
企業はビジネス目的で、SNS上にページを簡単に開設できますが、そのページのファン(Likeしてくれているユーザー)を増やしていくことは、決して簡単ではありません。
Likeすることが、その人のアイデンティティを表すようなページ、例えばスターバックス(コーヒー)やAppleとか、好きな音楽、漫画や小説、テレビ番組といった趣味・娯楽系のページなら、ユーザーが自らページを探して、勝手にLikeをしてくれる可能性はあります。
ただ残念ながら、ほとんどのビジネス系ページには、ユーザーが勝手に探し出して、ページをLikeしてくれるようなことはまず起きません。
Like(ファン)を多く獲得できているビジネス系のページは、単に大企業だからというわけではなく、大半は広告やキャンペーンなど、何らかのお金と労力の伴った、企業側担当者の努力の成果でしかなく、その努力が不十分なページは、例え大企業であっても、相応のファン数しか得られていないのが通常です。
ファンは最低1万人以上はいないと‥
なおFacebookページが、ビジネスに何らかのインパクトを与えるくらいになるには、弊社のいくつかの経験上では、少なくともファン数が1万人以上は必要だったため、これを1つ目のハードルと考えています。
ただし、例えばページ開設時のファン数100人以下の状態から、1000人を獲得するのと、5000人から6000人目を獲得するのでは、獲得に必要な時間は必ずしも同じではなく、ファンベースがある程度築けてきた後の方が、ファン獲得は早まる傾向にあります。
これは、お客さんが全く入っていないレストランに誰も入りたがらない現象と同じく、ファン数が極端に少ないページは、ユーザーにとってあまり良い印象がないことや、ファン数が増えることで、口コミによる拡散機会も増えることなどが、理由として考えられます。
ちなみに、ビジネス的に、10,000人のファンの次のターニングポイントは50,000人と考えています。
ファン獲得の段階でも十分ハードルは高く、うまく行かず苦悩しているケースも多々あると思いますが、ファン数を何とか獲得した後であっても、ビジネスにうまく生かせず、苦悩するケースも多々あり、これが2つ目のハードルです。
例えばミュージシャンや有名人などのページには、忠誠心のある本当のファンが集っていることが多く、ファンの人たちは常にページからの投稿を熱望しています。それこそ第三者的には、何の面白みのないような投稿であっても、Likeやコメント、シェアの数も簡単に稼げてしまいます。むしろファン達は、何かを宣伝されたがっているくらいの状況といえ、正にマーケティングをする側からすれば、それこそ探し求めていた理想といえます。
ところが、ビジネス系ページは、何とかお願いしてファンになってもらっているような状況がほとんどです。通常はその企業への関心度も低く、当たり障りのないようなトピックを投稿しても、当然Likeやシェアなどの反応はほとんど得られません。
宣伝や広告なら、尚更反応は悪く、そういう投稿が続くと、ユーザーからうざいと思われ、次からの投稿を非表示にされるか、最悪はLikeを取り消されることにもなり得ます。
エンゲージメント率が重要
SNS上で、ユーザーの愛着・関心・反応の度合いを示す指標として「エンゲージメント率」というものがあり、反応数÷ユーザー数で計算されるのですが、Facebookで言えば、1つの投稿に対して、(Likeされた数+コメント数)÷ファン数に該当します。(Likeした上でシェアする人も多いからなのか、一般的にシェアは含まずに計算するようです)
仮に30,000万人のファンがいるページで、何かを投稿して、270人のLikeと、30人がコメントを書けば、エンゲージメント率は1%になります。
SNSマーケティングにおいて、このエンゲージメント率を高めていくことが、1つのゴールとなります。逆にエンゲージメント率が低いページでは、一方通行の宣伝行為が続いている状態で、ビジネス的に何か好影響を与える要素は生まれ難くなっています。
エンゲージメント率を高めるには?
ファンの関心を引ける、面白い・インパクト・話題性のある投稿を続けることが一番ですが、これは簡単ではありません。
1つできることとして、オンラインコミュニティの特性を理解し、自社のカラー・スタンスを明確に示すことです。大手の場合、無難で当たり障りのない行動を目指すのが大半なので、特に中小企業が、大手ではなかなか取れない動きを取ることで差別化を図ることは、検討に値します。
注意すべきこと:
社内のSNS管理者に、とりあえず何かを随時投稿させるような運用でありがちなのが、ネット事情をあまり理解していない担当者が、既にどこかで出回っていたかなり古いネタを、そうとは気づかずに流用していて、オンラインユーザーに、完全に引かれてしまうというケースです。
企業のSNSページのファンには2種類がいる
純粋なファン
一般に、SNSユーザーが企業ページをLikeする(ファンになる)には大きく2つの理由があります。1つは、純粋にその企業に好感、興味を持っている、ある種のファンであるからで、もう1つは、その企業に対して、何らかのクレームがある場合です。
クレームをしたいユーザー
後者は、企業ページの設定で、ユーザーが何らかのコメントをしたい場合に、ページをLikeしていることを条件にしていることが多いためです。
公開されたカスタマー・サポートのやりとりは、ブランド・マネージメントが必要
正しいクレーム処理を行うのも、SNS運用の重要な仕事であり、ブランド・マネージメントの要でもあります。ネガティブなコメントがあれば、単に削除することが、SNS管理だと思われているケースをよく見掛けますが、こうした行為は例えるなら、カスタマーサービスへ苦情の電話をしてきた相手に、話すことなく、いきなり電話を切ってしまう行為に等しいということを、少なくとも認識しておく必要があります。
企業がSNSでページを開設した際に、ファンを獲得して、エンゲージメント率も高められたとしても、更に3つ目の越えなければならないハードルが、ブランド・マネージメント(ネガティブなコメントをどう捌き、どうやってポジティブなブランドイメージを残すか)の、正しいあり方を見つけることです。